プロローグ




人間達は知っているだろうか・・・人形達が意思を持っていることを・・・



人間達は知っているだろうか・・・人形達が話せることを・・・



人間達は知っているだろうか・・・人形達が生きているということを・・・










その昔、とある一家に仲の良いお人形【サラ】と【ティナ】がいました。


その家の二人の姉妹に可愛がられ、サラとティナはとても幸せな日々を過ごしていました。

お人形の世界では離ればなれになることもあり、
長い歳月の間、可愛がられ人間の手元を渡り歩くものである。

この仲の良い二人も例外ではなくその時は(別れ)やって来ました。

二人の姉妹が大人になり結婚した時に、姉はサラ、妹はティナを持って別々の所へ嫁いで行ったからです。

それから時は経ち、現在サラはいまの家にいる。

現在のご主人様もお人形が大好きでとてもよく可愛がってくれる。

仲間も沢山いて何不自由なく、とても幸せな日々を送っていた。
でもサラの心はいつだってティナのことを忘れてはいない。

ティナも遠くから幸せな生活を送っていることをいつも願っていた。
そしていつかまた一緒に暮らしたいと・・・






ACT 1


「またティナのこと考えてたの?」



一番仲の良いメイが言ってきた。

彼女はサラにとって妹みたいに仲の良い人形で、
彼女もサラのことをお姉ちゃんみたいに慕っている。


メイ「大丈夫!ティナもきっと幸せに暮らしてるよ!」

メイはいつもの様に励ましてくれる。ふと、その時ドアが開く音がした。


   「ただいまー」

ご主人様が仕事から帰ってきた。

ご主人様は一人暮らしで、いつも私達(人形)に今日あった楽しかったことや嫌なことを
話してくれる。私達(人形)にとっては嬉しいことなのです。

いつもの様にテレビをつけるご主人様。
サラ達の並んでいる棚はテレビが正面にあり、皆テレビが大好きです。

テレビが付くと皆必ず観ているのだ。今の時間は大体ニュースと相場は決まっている。
いつものキャスターがいつもの様にニュースを読んでいる途中、
緊急ニュースが映像とともに入ってきた。
どうやら隣町の商店街で火事があったらしい。もうすぐ鎮火しそうな映像だ。



メイ「火事って怖いよねー私達なんて一瞬で燃えちゃうよー」

怖いことをメイは言う。

メイ「あ、見て!隣のお店に仲間(お人形)がいる!」

確かに火事の家の隣りの店には人形が飾ってあった。

サラ「ティナ!?」

サラは思わず叫んだ。

小さくてよく見えなかったけど、あの人形はティナに似ていた・・・ 

メイ「サラ、今なんて?いまのティナ!?」

サラ「わからない、でもティナに似ていた・・」

もちろんティナだという確証はない。違う人形かもしれない。
でも、サラの心の中に「ティナに逢いたい」という気持ちがどんどん強くなっていた。 


サラ「私、逢いに行きたい。」 

メイ「えっ!?だってあれだけじゃティナって分からないし、隣町だよ?!行ける訳ないよー(汗)」

メイの意見はもっともである。しかしサラは話続ける

サラ「私、バリュアブルタイムを使うわ。」

メイ「!!!」

メイは絶句した。



【バリュアブルタイム】
人形達は一生に定められた時間だけ動くことが出来る時間のことを言う。
動きだしてから日数にしておよそ7日間。ほとんどの人形達はバリュアブルタイムを使わない。
貴重な時間だから使わないのいも理由の一つだが、今の時代使わなくても十分生きて行けるからだ。



メイ「サラ!使っちゃ駄目だよ!一度使ったらもう二度と使えないんだよ!?それに場所だって遠いんだし、うまく辿り着けるかも分かんないじゃん!着いたとしてもここに戻って来れる保障なんてまったくないじゃん!?」

メイの言う通りである。

こういう時ちゃんと確信をつくのがメイなのだ。 しかしサラも負けじと言う。

サラ「メイの言う通りだと思うけど今使わないでいつ使うの?バリュアブルタイムなんてほとんどの人形は使ってないじゃない!私はティナに逢えるんだったら惜しみもなくこの時間を使うわ!!」

メイ「あ、そう!そんなに逢いたかったら行けばいいじゃない!!」


売り言葉に買い言葉。
ちなみに人形達の会話はこんなに騒いでも人間達には聞こえないのだ。 

メイ「ここを出て行ったらもうメイと逢えないんだよ・・・ご主人様ともお別れなんだよ・・・」

急に悲しそうにメイは言った。

確かにメイやご主人様、それにここの皆と会えなくなってしまうのは嫌だ。
でもティナにもう一度逢いたい。どうしようもない葛藤がサラを襲う。


メイ「えっ・・・?」


メイは声をもらした、そして目を疑った。目を凝らして改めて見てみる。


サラ「そんなことって・・・」


メイよりもびっくりした様子のサラ。

自分でも知らないうちにサラは両手を動かしてしまっていたのだ。




そして、今日この時から、サラのバリュアブルタイムのカウントダウンが始まった。







残り6日間・・・









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